【給料安い】の基準はいくら？手取り・年収の平均データと低いと感じた時の対処法

「自分の給料は、もしかして安いのでは？」

「周りの人はどれくらいもらっているんだろう？」

日々の業務に追われる中で、ふと自分の給与明細を見て、そんな不安や疑問を感じたことはありませんか。

「給料が安い」という言葉は、非常に主観的なものです。生活水準や価値観によって、その「基準」は人それぞれ異なります。

しかし、もしその「安さ」があなたのキャリアアップや将来設計の足かせになっているとしたら、それは見過ごせない問題です。

私たちLIFRELLスキルアップ編集部は、これまで多くのキャリアチェンジを目指す方々をサポートしてきました。その中で見えてきたのは、客観的な「基準」を知らないまま、漠然とした不安を抱え続けている方が非常に多いという事実です。

この記事では、まず政府の公的な統計データに基づき、「給料が安い」と判断できる客観的な基準を徹底的に解説します。さらに、年代別、産業別、地域別など、様々な角度からあなたの「現在地」を明らかにします。

その上で、もしご自身の給料が低いと感じた場合に取るべき具体的な行動を、キャリア支援の専門家である私たちの視点から具体的に提案します。

この記事を読み終える頃には、あなたの給与に関するモヤモヤが晴れ、次の一歩を踏み出すための明確な指針が見えているはずです。

結論：「給料が安い」の客観的基準は3つの公的データで判断できる

「給料が安い」という主観的な感覚を客観的な事実に落とし込むため、LIFRELLスキルアップ編集部が基準として注目したのは、国が公表している以下の3つのデータです。

1. 最低賃金（時給・月給）：法的に定められた給与の下限。
2. 相対的貧困線：国民の所得の中央値の半分。
3. 給与所得者の平均年収（中央値）：日本で働く人の「平均」と「真ん中」。

これらの数値を下回っている場合、あるいは近い水準である場合、客観的に「給料が安い」状態である可能性が高いと言えます。

1. 最低賃金：法律で定められた下限ライン

最低賃金は、国が定める「これ以下で働かせてはいけない」という給与の最低ラインです。

2024年度（令和6年度）の全国加重平均額（目安）は時給1,004円です。

これをフルタイム（1日8時間・月20日勤務）の月給に換算すると、約16万640円となります。

年収換算：約192万円

もしあなたの給与がこれに近い、あるいは手当などを除いた基本給がこれを下回る場合は、法律的な観点からも「安い」と断言できます。

（出典：厚生労働省「令和5年度地域別最低賃金改定状況」）

2. 相対的貧困線：社会全体で見た「生活が苦しい」ライン

相対的貧困線とは、国内の全世帯の可処分所得（手取り収入）を順番に並べたとき、真ん中の順位の人の所得（中央値）の半分に満たない所得水準を指します。

厚生労働省の2022年「国民生活基礎調査」によると、2021年の相対的貧困線は年間127万円（単身世帯の場合）でした。

月額換算：約10万6,000円

これは税金や社会保険料を支払った後の「手取り」の金額です。もしあなたの手取り年収がこの水準に近い場合、社会全体の中で見ても生活が厳しい層に入ると言えます。

（出典：厚生労働省「2022（令和４）年 国民生活基礎調査の概況」）

3. 給与所得者の平均年収と「中央値」

最も一般的な比較対象は「平均年収」です。しかし、平均値（平均年収）は、一部の高額所得者によって大きく引き上げられる傾向があります。

そこで重要になるのが、より実態に近い「中央値」（データを並べたときに真ん中に来る値）です。

国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の給与所得者の平均年収は458万円です。

項目	年収額
平均年収	458万円
中央値（推定）	約390万～410万円 ※
手取り年収（目安）	約310万～330万円

※国税庁の調査では中央値は公表されていませんが、同調査の「給与階級別分布」からLIFRELLスキルアップ編集部が推定すると、中央値は300万円台後半から400万円台前半にあると推測されます。

もしあなたの年収が400万円を大きく下回る場合、日本の「真ん中」よりも低いことになり、「給料が安い」と感じる有力な根拠となります。

（出典：国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」）

【年代別】で見る「給料安い」のライン。20代と30代のリアル

給与水準は、年齢や勤続年数によって大きく変動します。ここでは、国税庁の同調査から、年代別の平均年収（平均値）を見ていきましょう。

ご自身の年齢層の平均と比べて、低いか高いかを判断する材料にしてください。

年齢階層	平均年収（全体）	平均年収（男性）	平均年収（女性）
19歳以下	152万円	175万円	134万円
20～24歳	291万円	317万円	270万円
25～29歳	389万円	443万円	349万円
30～34歳	425万円	511万円	349万円
35～39歳	462万円	572万円	350万円
40～44歳	491万円	622万円	356万円
45～49歳	521万円	664万円	360万円
50～54歳	537万円	697万円	358万円
55～59歳	546万円	717万円	343万円
60～64歳	441万円	569万円	275万円
65歳以上	342万円	428万円	237万円

（出典：国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」よりLIFRELLスキルアップ編集部が作成）

20代の給与：「安い」のは当たり前？

• 20代前半（20～24歳）の平均年収は291万円です。
• 20代後半（25～29歳）の平均年収は389万円です。

20代は、社会人としての基礎を築く時期であり、全体の平均と比べると給与は低めです。特に20代前半で「給料が安い」と感じるのは、ある意味で自然なことです。

30代の給与：「安い」はキャリアの危険信号

• 30代前半（30～34歳）の平均年収は425万円です。
• 30代後半（35～39歳）の平均年収は462万円です。

30代になると、スキルや経験が給与に反映され始め、同年代でも差が開き始めます。

もし30代で年収が300万円台、あるいは400万円前半に留まっている場合、平均と比べて「安い」状態にある可能性が高いです。

【産業別】給料が安い・高い業界は？年収アップは「業種選び」から

あなたの給料が安い原因は、個人の能力だけでなく、所属している「業界」にあるかもしれません。

業界によって平均年収は大きく異なります。

業種	平均年収
電気・ガス・熱供給・水道業	747万円
金融業・保険業	656万円
情報通信業（ITなど）	632万円
建設業	529万円
製造業	514万円
学術研究・専門・技術サービス業	502万円
不動産業・物品賃貸業	469万円
運輸業・郵便業	465万円
（全体平均）	（458万円）
医療・福祉	409万円
卸売業・小売業	407万円
サービス業	374万円
農林水産・鉱業	344万円
宿泊業・飲食サービス業	268万円

（出典：国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」よりLIFRELLスキルアップ編集部が作成）

給料が安い業界の特徴

「宿泊業・飲食サービス業」「サービス業」「卸売業・小売業」などは、全体の平均を大きく下回っています。

これらの業界は、労働集約型（人の手が必要）であり、利益率が低い傾向にあります。また、非正規雇用の割合が高いことも、平均年収を引き下げる一因となっています。

給料が高い業界の特徴

「電気・ガス・熱供給・水道業」いわゆるインフラ系、そして「金融・保険業」「情報通信業（IT）」は、平均年収が600万円を超えています。

これらの業界は、高い専門性が必要とされる、あるいは大規模な設備投資が必要（参入障壁が高い）であり、利益率が高いビジネスモデルが確立されています。

【雇用形態・地域別】の現実。あなたの「安さ」はどこから？

給与の格差は、年代や業界だけでなく、働き方や住んでいる場所によっても明確に現れます。

雇用形態別：正社員と非正規の大きな壁

雇用形態	平均年収
正社員（正規）	531万円
正社員以外（非正規）	201万円

（出典：国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」よりLIFRELLスキルアップ編集部が作成）

正社員と非正規（契約社員、派遣社員、パート・アルバイトなど）の間には、年収で300万円以上という非常に大きな差があります。

非正規雇用の場合、昇給や賞与（ボーナス）、福利厚生が限定的であることが多く、勤続年数が長くなっても給与が上がりにくい構造があります。

もしあなたが非正規雇用で「給料が安い」と感じているなら、それは当然のことであり、正社員登用を目指すか、正社員として転職することが、年収アップの最も確実な道です。

地域別：首都圏と地方の給与格差

住んでいる地域によっても、給与水準は異なります。一般的に、物価の高い都市部のほうが給与も高い傾向にあります。

＜地域別：平均賃金（月額）＞

地域	平均賃金（月額）
東京都	37万9,500円
神奈川県	34万2,000円
大阪府	33万4,100円
愛知県	32万1,100円
（全国平均）	31万8,300円
福岡県	29万5,300円
北海道	28万2,800円
青森県	25万3,300円

（出典：厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査（都道府県別）」より抜粋）

最も高い東京都（約38万円）と、最も低い青森県（約25万円）では、月額で12万円以上、年収に換算すると150万円以上の差が生じています。

あなたは大丈夫？「給料が安い」と感じる危険信号5選

公的なデータだけでなく、あなたの「生活実感」も重要な判断基準です。

私たちLIFRELLスキルアップ編集部が、多くのキャリア相談者から聞いてきた「危険信号」を5つ紹介します。これらに当てはまる場合、将来のために行動を起こすべきサインです。

1. 毎月の貯金ができない、または赤字になる

手取り収入から家賃、光熱費、食費などの固定費を引いた後、自由に使えるお金がほとんど残らない。

あるいは、趣味や交際費を切り詰めても貯金ができない状態は、給与が生活レベルに見合っていない（安い）明確な証拠です。

2. 昇給がほとんどない（年間数千円レベル）

勤続年数を重ねているにもかかわらず、基本給がほとんど上がらない。

昇給が年功序列で決まっており、成果を上げても評価・給与に反映されない環境は、あなたの市場価値を正当に評価していないと言えます。

3. スキルアップ（自己投資）のためのお金を使えない

キャリアアップのために本を買ったり、スクールに通ったり、資格を取得したりするための「自己投資」にお金を回す余裕がない。

これは、将来の収入アップの機会を失っていることになり、長期的に見て非常に危険な状態です。

4. 同年代・同業種の友人と比べて明らかに低い

友人との会話で、自分だけ給与やボーナスの話ができない。

同じような仕事内容であるにもかかわらず、他社の同年代と比べて年収に数十万円単位の差がある場合、あなたの会社や業界の給与水準が低い可能性があります。

5. 労働時間に見合っていない（時給換算すると低い）

月給は一見普通でも、残業代が支払われないサービス残業や休日出勤が多い。

総労働時間で月給を割って「時給換算」してみると、最低賃金を下回る、あるいはアルバイトと変わらない水準である場合は、典型的な「安い」給料です。

なぜ給料が安いままなのか？考えられる5つの原因

給料が安いまま停滞しているのには、必ず理由があります。原因を特定することが、解決への第一歩です。

1. 会社の業績・給与体系の問題

最も多い原因は、所属する会社の業績不振や、そもそも利益率の低いビジネスモデルであることです。

また、会社が儲かっていても、その利益を従業員に還元する給与体系（評価制度）が整っていなければ、給料は上がりません。

2. 業界の構造的な問題

前述の「産業別データ」で見たとおり、業界全体が「薄利多売」のビジネスモデル（飲食、小売、サービス業など）である場合、従業員一人ひとりの給与を高く設定することが構造的に困難です。

3. 専門性・スキルの不足

時代の変化とともに、求められるスキルも変わります。例えば、定型的な事務作業はAIやRPAに代替されやすく、給与が上がりにくくなっています。

逆に、AIを使いこなすスキルや、マーケティング、プログラミングなどの専門スキルがないと、付加価値の高い人材として評価されにくいのが現実です。

4. 評価制度の不透明さ

何をどれだけ達成すれば昇給・昇進できるのかが不明確な会社では、従業員は「何を頑張ればいいか」が分かりません。

上司の主観や「頑張っている感」だけで評価が決まるような環境では、正当な給与アップは望めません。

5. 「給与交渉」をしていない

日本では「お金の話はしにくい」という風潮がありますが、自分の成果を適切にアピールし、給与交渉をしなければ、会社側から積極的に給与を上げてくれるケースは稀です。

受け身の姿勢が、安い給料のまま放置される原因になっている可能性もあります。

給料が安いと感じたら今すぐやるべきこと4選

現状を客観的に把握し、「給料が安い」という結論に至ったなら、次に行動を起こしましょう。

私たちLIFRELLスキルアップ編集部が推奨する、現実的な4つの選択肢を紹介します。

1. 社内での昇給交渉

まずは、現在の職場で年収を上げられないか検討します。これが最もリスクの低い方法です。

準備すること：

• 客観的な実績：売上への貢献度、コスト削減の実績、業務改善の具体例などを数値で示せるようにまとめます。
• 市場価値の把握：同業他社や同職種の平均年収を調べ、「自分の市場価値はこれくらいだ」という根拠を用意します。
• 会社の評価制度の確認：評価シートや面談の基準を再確認します。

交渉のコツ：

• 感情的に「安い」と訴えるのではなく、「これだけの成果を出したので、これくらいの評価（昇給）を希望します」と論理的に伝えます。
• 直属の上司との評価面談など、公式な場で切り出すのがベストです。

2. スキルアップ・資格取得（自己投資）

現在の給与が安い原因が「専門性の不足」にある場合、最も有効な手段は自己投資です。

ポータブルスキル（持ち運び可能なスキル）を身につける：

• ITスキル：プログラミング、Webデザイン、データ分析など。これらは高年収のIT業界への転職に直結します。
• Webマーケティング：SEO、広告運用、SNS運用など。どの業界でも需要が高く、副業にも活かせます。
• 語学：英語（特にTOEIC800点以上）は、外資系企業やグローバル企業への転職で年収アップに繋がりやすいです。

3. 副業を始める

本業の給与（収入源）だけに依存するリスクを分散させる方法です。

副業のメリット：

• 単純に手取り収入が増える。
• 本業では得られないスキルや経験が積める。
• スキルが育てば、副業が本業の収入を超える可能性や、独立・起業の道も開ける。

おすすめの副業：

• Webライティング、ブログ運営（アフィリエイト）、動画編集、Webデザイン、プログラミング（案件受注）など、PC一つで始められるスキルベースの副業がおすすめです。
• これらは本業のスキルアップにも繋がります。

4. 転職活動を始める（市場価値の確認）

「給料が安い」という問題の、最も根本的かつ効果的な解決策が「転職」です。

特に、前述した「給与水準の高い業界」へ移る「異業種転職」は、大幅な年収アップの可能性を秘めています。

今すぐ転職する気がなくても「転職活動」は始めるべき：

• 転職エージェントに登録し、キャリアアドバイザーと面談するだけでも、「あなたの現在の市場価値（適正年収）」を客観的に知ることができます。
• 自分の市場価値が現在の手取り・年収より高いと分かれば、それが昇給交渉の材料にも、転職への自信にも繋がります。

年収アップを狙うなら「転職」が最も現実的な選択肢

もし社内での昇給が見込めず、業界全体が低水準である場合、年収アップを実現する最も現実的でスピーディーな方法は「転職」です。

特に、成長産業であるIT業界や、高い専門性が求められる金融・コンサル業界などへのキャリアチェンジは、20代～30代であれば未経験からでも十分に可能です。

転職を成功させるための「転職エージェント」活用法

私たちLIFRELLスキルアップ編集部は、本気で年収アップを目指すなら「転職エージェント」の活用を強く推奨します。

転職サイト（リクナビNEXTやマイナビ転職など）は求人を探す「検索ツール」ですが、転職エージェント（リクルートエージェントやdodaなど）は、あなたのキャリアに伴走する「パートナー」です。

比較項目	転職エージェント（無料）	転職サイト（無料）
主な機能	キャリア相談、求人紹介、面接対策、書類添削、年収交渉	求人検索、応募
求人	非公開求人（好条件・高年収）が多い	公開求人が中心
メリット	・自分の市場価値がわかる ・年収交渉を代行してくれる ・業界の内部事情に詳しい ・未経験可の優良求人を紹介してもらえる	・自分のペースで進められる ・大量の求人を閲覧できる
デメリット	・担当者との相性がある ・希望しない求人を紹介されることも	・すべて自分でやる必要がある ・年収交渉などを自分で行う

年収交渉をプロに任せるメリット

給料が安いと悩む人の多くは、自分で「給与交渉」をするのが苦手です。

転職エージェントを利用する最大のメリットは、内定が出た後に、あなたに代わって企業と年収交渉を行ってくれる点にあります。

希望年収と、あなたのスキル・経験のバランスを見ながら、可能な限り高い水準の年収で入社できるよう交渉してくれるプロの存在は、年収アップを目指す上で非常に心強い味方となります。

当サイトでも、年代別・業界別におすすめの転職エージェントを紹介しています。まずは無料相談に申し込み、あなたの「適正年収」を診断してもらうことから始めてみてください。

まとめ：自分の「適正年収」を知り、未来のために行動しよう

「給料が安い」という漠然とした不安も、公的なデータと照らし合わせることで、客観的な「事実」として把握できます。

「給料安い」の基準まとめ

• 絶対的ライン：年収192万円（最低賃金）、手取り年収127万円（相対的貧困線）
• 平均との比較：年収400万円（推定中央値）
• 年代別：20代後半で389万円、30代前半で425万円が平均
• 業界別：「IT・金融・インフラ」は高く、「飲食・サービス・小売」は低い

もしあなたの給与がこれらの基準を下回っていたとしても、悲観する必要はまったくありません。

それは「あなたの価値が低い」のではなく、「あなたの価値が正当に評価されていない環境にいる」というサインに過ぎないからです。

LIFRELLスキルアップ編集部は、現状に悩みながらも、スキルアップやキャリアチェンジを通じて、より良い未来を目指すすべての人を応援しています。

この記事が、あなたが自分の市場価値を見つめ直し、次の一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。