転職活動は会社にバレる？バレないための対策とバレた時の対処法

転職を考え始めたとき、多くの方が真っ先に不安に思うこと。それは「転職活動が、今勤めている会社にバレてしまったらどうしよう」ということではないでしょうか。

気まずい雰囲気になったり、昇進や評価に影響が出たり、最悪の場合、退職を迫られたりしないか…。そんな不安から、一歩を踏み出すことをためらってしまう方もいらっしゃるかもしれません。

LIFRELLスキルアップ編集部がまずお伝えしたいのは、「転職活動がバレるリスクはゼロではないが、適切な対策を講じれば、そのリスクは限りなく低くできる」ということです。

この記事では、転職活動が会社に発覚する主な原因から、バレないための具体的な対策、そして万が一バレてしまった場合の冷静な対処法まで、キャリアチェンジをサポートする私たちが徹底的に解説します。

結論：転職活動はバレる可能性あり。しかし対策次第でリスクは最小限に

残念ながら「絶対にバレない方法」というものは存在しません。予期せぬところから情報が漏れる可能性は常につきまといます。

しかし、なぜバレるのか、その「主な原因」を知っておけば、先回りして対策を打つことができます。

転職活動がバレることで生じるデメリットは、主に以下の点が考えられます。

• 社内での居心地が悪くなる
• 上司や同僚との関係がぎくしゃくする
• 重要なプロジェクトから外される
• 現在の会社での評価（査定）に悪影響が出る
• 執拗な引き止めにあう

これらのリスクを回避し、安心して次のステップに進むためにも、まずは「なぜバレるのか」を徹底的に理解することから始めましょう。

なぜバレる？転職活動が会社に発覚する主な原因TOP5

私たちは、転職活動が発覚するケースを「うっかり型」「しくじり型」「システム型」の3つに分類しています。特に多い5つの原因を見ていきましょう。

1. 住民税の通知（システム型）

これは「転職後に」バレるのではなく、「転職活動中」あるいは「副業」がバレるケースとしてよく誤解されています。

後ほど詳しく解説しますが、住民税の仕組みを理解していないと、意図せず会社に情報が伝わることがあります。

2. 同僚や上司による目撃（うっかり型）

最も原始的ですが、非常に多いケースです。

• 服装の変化
  普段はカジュアルな服装なのに、ある日突然スーツで出社（または早退・遅刻）した。
• 行動の変化
  昼休みに急いで外出したり、会社の近くで電話ボックスやカフェでこそこそと長時間電話したりしている。
• 目撃
  面接会場のビルに入っていくところを、運悪く取引先の人や、同僚に見られてしまった。

3. 本人の言動やSNS（うっかり型）

「誰にも言わないから」という言葉を信じて同僚に漏らしてしまい、そこから噂が広まるのは典型的なパターンです。

また、SNSでの「匂わせ」投稿も危険です。

• 「〇〇（地名）で面接だった」
• 「今の会社、もう限界」
• 「新しいチャレンジ決まったかも」

鍵をかけたプライベートアカウント（裏アカ）であっても、どこから情報が漏れるか分かりません。

4. 会社のPCやネットワークの使用（しくじり型）

これは完全に本人のミスですが、意外と多い原因です。

• 会社のPCで転職サイトを閲覧した（ブラウザの閲覧履歴や、セキュリティソフトの監視ログで発覚）
• 会社のメールアドレスで転職サイトに登録した（論外です）
• 会社のプリンターで履歴書や職務経歴書を印刷した（印刷ログや、印刷物を忘れることで発覚）

5. 転職エージェントや転職サイト（システム型）

良かれと思って登録した転職サービスが、裏目に出るケースです。

「企業ブロック機能」の設定ミス

多くの転職サイトには、特定の企業（＝今勤めている会社）に自分のレジュメ（履歴書）を公開しないよう設定する「ブロック機能」があります。

しかし、この設定を忘れたり、会社名が微妙に違ったり（例：株式会社AとA株式会社）すると、人事担当者に見つかってしまいます。

エージェントからの情報漏洩

あってはならないことですが、転職エージェントの担当者が、あなたの会社の人事担当者とつながっており、「御社の〇〇さんが登録に来ましたよ」と情報が流れてしまうケースも（可能性は低いですが）ゼロではありません。

まだある！バレる原因の「盲点」

上記のTOP5以外にも、思わぬ落とし穴が存在します。特に選考が進んだ段階で注意が必要です。

1. リファレンスチェック（前職調査）

外資系企業やハイクラス転職で増えているのが「リファレンスチェック」です。

これは、応募者が本当に信頼できる人物かを確認するため、採用企業が「現職（または前職）の上司や同僚」に電話やメールでヒアリングを行うことです。

当然ながら、現職の上司にリファレンスチェックの依頼が届けば、その時点で転職活動は100%バレます。

2. 不審なアクセスログ

「転職活動がバレる」とは少し違いますが、退職の兆候として疑われるケースです。

退職前に「会社の機密情報」や「顧客リスト」、「自分が作成した企画書」などを持ち出そうと考える人がいますが、これは絶対にNGです。

普段アクセスしないサーバーに大量にアクセスしたり、USBメモリにデータをコピーしたりする行動は、セキュリティシステムによって異常なアクセスログとして検知されます。

これが発覚すれば、転職活動どころか、懲戒解雇や損害賠償請求の対象にすらなり得ます。

3. 健康保険組合や厚生年金の手続きの噂

これは、主に「退職後」にバレるケースですが、噂が広まる発端になることがあります。

あなたが退職すると、会社は人事・総務部で社会保険の「資格喪失手続き」を行います。

もしあなたがすぐに次の会社に入社せず、国民健康保険に切り替えたりすると、その手続き情報が（例えば同じ健康保険組合に加入している関連会社などで）噂になる可能性もゼロではありません。

【最重要】「住民税でバレる」の誤解と本当のリスク対策

転職活動において、最も多くの方が不安視するのが「住民税」の問題です。

「転職して給与が上がると、翌年の住民税が上がる。その通知が今の会社（辞める前の会社）に届いてバレるのではないか？」

これは、よくある誤解です。

住民税の仕組みと、本当のリスクについて正確に理解しましょう。

住民税の基本：特別徴収と普通徴収

• 特別徴収
  会社員（給与所得者）の標準的な納税方法。会社が毎月の給与から住民税を天引きし、本人に代わって自治体に納付します。
• 普通徴収
  自営業者やフリーランス、または会社を退職した人などが使う納税方法。自治体から送られてくる納付書（または口座振替）で、自分で直接税金を納めます。

「転職活動」自体は住民税ではバレない

まず結論から言うと、あなたが「転職活動をしている」という事実だけで、住民税の通知額が変わり、今の会社にバレることはありません。

住民税は、前年（1月〜12月）の所得に基づいて計算され、その年の6月から翌年5月にかけて徴収されます。

例えば、2025年中に転職活動をしていても、2025年6月〜2026年5月に徴収される住民税は、2024年の所得（今の会社での所得）に基づいて計算されています。

「転職して給与が上がった」影響が出るのは、転職した翌々年の6月以降の住民税です。その頃には、あなたはもう今の会社には在籍していません。

本当に注意すべき「住民税バレ」の正体

では、なぜ「住民税でバレる」という話が広まっているのでしょうか。

それは、「転職」ではなく「副業」と混同されているケースがほとんどです。

注意すべきケース：副業をしている場合

もしあなたが、会社に内緒で副業（アルバイトや業務委託など）をしており、その所得（利益）を確定申告しているとします。

その際、確定申告書の「住民税に関する事項」で「自分で納付（普通徴収）」を選ばずに、「給与から差引き（特別徴収）」を選んでしまうと…。

自治体は、「本業の会社の給与」と「副業の所得」を合算した総所得で住民税を計算し、その合算額に基づく納税通知を本業の会社に送ってしまいます。

すると、本業の会社の経理担当者は、「あれ？ 佐藤さん（仮名）、うちの給与額にしては住民税が不自然に高いな…？ 他にも収入があるな？」と気づいてしまうのです。

これが「住民税でバレる」の主なカラクリです。

【対策】

副業をしている、または今後する可能性がある方は、確定申告の際、必ず住民税の納付方法を「自分で納付（普通徴収）」にチェックしてください。

バレないための具体的な対策【行動編】

「うっかり型」のミスを防ぐための、具体的な行動指針です。

1. 転職活動は「会社の外」で完結させる

当たり前のことですが、徹底しましょう。

• 会社のPC・スマホは絶対に使わない
  転職サイトの閲覧、エージェントとのメール、履歴書の作成、すべて個人のPC・スマホで行います。
• 会社のWi-Fiやネットワークを使わない
  個人のスマホであっても、会社のWi-Fiに接続していると、通信ログ（どのサイトにアクセスしたか）を監視されている可能性があります。
• 会社の備品を使わない
  履歴書の印刷は、自宅のプリンターか、コンビニのネットプリントを利用します。

2. 業務時間外に活動する（有給・面接日程のコツ）

面接やエージェントとの面談は、就業時間後（定時後）や土日、有給休暇を利用して設定します。

「私用のため」「通院のため」といった理由で中抜けや早退を繰り返すと、当然ながら怪しまれます。

＜面接日程調整のコツ＞

• 有給休暇が最強：最も確実なのは、1日または半日単位で有給休暇を取得することです。「通院」「役所の手続き」「家族の用事」などが一般的な理由ですが、詳細を詮索された場合は「私用のため」とだけ答えれば問題ありません。
• ピンポイントで休まない：特定の曜日（例：毎週水曜の午後）だけ休むと、「定期的な何か（＝面接）」を疑われます。有給はランダムに取得しましょう。
• 終業後・始業前を打診する：企業側も在職中の転職活動には理解があります。「現職の都合上、平日の19時以降、または始業前の朝早い時間帯は可能でしょうか」と打診してみましょう。
• Web面接（オンライン面接）を活用する：在宅勤務中であれば、昼休み時間や業務終了直後に自宅からWeb面接を受けることも可能です。ただし、背景に会社の資料が映り込まないよう細心の注意を払いましょう。

3. 服装の「急な変化」を避ける

面接のためにスーツに着替える必要がある場合、面倒でも以下の対策を取りましょう。

• ロッカーを活用：駅やカフェのロッカーにスーツやシャツを預けておき、直前に着替える。
• 現地で着替える：面接先のビルに着いてから、トイレなどでジャケットやネクタイを着用する。
• オフィスカジュアルの場合：普段がオフィスカジュアルの場合、面接時も「ビジネスカジュアル」でOKな企業も増えています。その場合は、普段より少しカチッとしたジャケットを持参し、面接前に羽織るだけでも印象が変わります。
• 終日有給がベスト：やはり最も楽なのは、終日有給休暇を取り、家からスーツで面接に向かうことです。

4. 「沈黙」は金なり。誰にも言わない

最も信頼している同僚であっても、転職活動の事実を打ち明けるのはNGです。

悪気はなくても、ひょんなことから情報が漏れてしまうのが人間です。「あの人が辞めるらしい」という噂は、あなたが思うよりずっと早く広まります。

相談したい場合は、社外の友人、家族、または転職エージェントのキャリアアドバイザーに限定しましょう。

バレないための具体的な対策【転職サービス編】

「システム型」のミスを防ぐための、ツールの設定方法です。

1. 転職サイトの「企業ブロック機能」を必ず設定する

転職サイトに登録したら、まず最初に行う作業です。

レジュメ（職務経歴書）を登録すると、企業の人事担当者がそれを検索できるようになります。

あなたの会社の人事担当者が、あなたのレジュメを見つけてしまうのを防ぐ必要があります。

【主な転職サイトのブロック機能（例）】

サービス名	ブロック機能の名称・特徴	注意点
リクナビNEXT	レジュメ非公開設定	「特定の企業」を指定して非公開にします。 企業名（正式名称）で検索して設定します。
doda	企業ブロック設定	企業名で登録します。 ブロックした企業はあなたのレジュメを検索・閲覧できなくなります。
ビズリーチ	特定企業への情報非公開	スカウトを受け取る設定にしつつ、特定の企業（現在の勤務先など）を指定してブロックできます。
マイナビ転職	企業ブロック設定	会社名（キーワード）で検索し、ブロックリストに追加します。

【ブロック機能の注意点】

• グループ会社もブロックする
  あなたの勤務先だけでなく、親会社、子会社、関連会社もすべてブロックリストに入れましょう。人事情報が共有されている可能性があります。
• 会社名の表記ゆれも確認する
  「株式会社LIFRELL」と「（株）LIFRELL」など、表記が違う場合も想定し、正確な正式名称で登録します。
• エージェント経由のスカウトに注意
  ブロック機能は、主に「企業からの直接スカウト」を防ぐものです。転職エージェント（仲介会社）はあなたのレジュメを閲覧できる場合があります。

2. 信頼できる転職エージェントを選ぶ

転職エージェント（人材紹介会社）を利用する場合、担当のキャリアアドバイザーに「現在の会社には絶対に知られないように活動したい」と、念押しで伝えてください。

優良なエージェントであれば、守秘義務を徹底し、あなたの情報が勤務先に渡るようなことは決してありません。

SNSは最大の落とし穴？バレないためのSNS利用術

最も注意が必要なのがSNSです。開放的な気分で投稿した一言が、あなたのキャリアを危険にさらす可能性があります。

1. 転職活動に関する「匂わせ」投稿は厳禁

• 「今日は〇〇（面接地）まで来た」
• 「面接、手応えあり！」
• 「今の環境から抜け出したい」

これらの投稿は、たとえプライベートな鍵付きアカウントであっても危険です。

同僚や上司が、別のアカウントであなたをフォローしている（あるいは、あなたのフォロワーの誰かが情報を漏らす）可能性を否定できません。

2. LinkedInの利用は特に慎重に

ビジネス特化型SNSであるLinkedInは、転職活動に非常に有効ですが、設定を誤ると勤務先にバレるリスクが最も高いツールの一つです。

注意すべき設定：「Open to Work（求職中）」機能

LinkedInには、自分が求職中であることを示す「Open to Work」という機能があります。この設定には2種類あります。

• すべてのLinkedInメンバー
  プロフィール写真に緑色の「#OPENTOWORK」フレームが付き、全ユーザー（当然、今の上司や同僚も含む）にあなたが求職中であることが公開されます。
• リクルーターのみ
  あなたのプロフィールを見ているリクルーター（採用担当者）にだけ、あなたが求職中であることを知らせます。

【対策】

在職中に転職活動をする場合は、必ず「② リクルーターのみ」を選択してください。

LinkedInは、あなたの現在の勤務先のリクルーターにはこの情報が表示されないよう努力する、と公表していますが、100%の保証はありません。

最も安全なのは、LinkedInのプロフィール更新（新しいスキルの追加など）自体を、活動が本格化するまで控えることです。

【要注意】「リファレンスチェック」でバレるケースと対策

選考の最終段階で「リファレンスチェックをお願いします」と言われた場合、どうすればよいでしょうか。

リファレンスチェックとは？

前述の通り、採用企業があなたの働きぶりや人柄を、第三者（現職や前職の上司・同僚）に確認する作業です。

これにより、面接での発言と実際の評価にギャップがないかを確認します。

バレるリスクと対策

通常、リファレンスチェックは「内定直前」に行われます。この時点で現職の上司に依頼すれば、当然バレます。

【対策】

1. 推薦者を交渉する
   「現職の上司は、退職の意向を伝えていないため難しい」と正直に伝えます。その上で、代替案を提示します。
   • すでに退職した会社（前職・前々職）の上司や同僚
   • 現職でも、すでに退職している元上司や元同僚
   • （もし可能なら）現職で、転職活動を唯一知っている信頼できる同僚（リスクは伴います）
2. タイミングを交渉する
   「内定をいただき、現職に退職の意向を伝えた後であれば、現職の上司に依頼可能です」と交渉します。
   多くの企業は、在職中の応募者の事情を理解しているため、柔軟に対応してくれるケースがほとんどです。

ボーナスは欲しい！バレない転職活動の「時期」

「どうせ辞めるなら、夏の（または冬の）ボーナスをもらってから辞めたい」

これは多くの人が考えることですが、タイミングには注意が必要です。

ボーナス査定期間中の活動リスク

ボーナスは通常、「査定期間（例：4月〜9月）」の勤務評価に基づいて、「支給日（例：12月）」に支払われます。

もし、査定期間中に転職活動がバレてしまうとどうなるでしょうか。

「どうせ辞める人だ」と判断され、ボーナスの評価（査定額）を意図的に下げられる可能性があります。

就業規則で支給額が明確に決まっていない限り、査定は会社の裁量によるところが大きいため、これは合法的な範囲で行われるリスクがあります。

ボーナス受給直後の退職が与える印象

最も多いのが、「ボーナス支給日の翌週に退職届を出す」パターンです。

これは法的には何の問題もありません。ボーナスは「過去の労働への対価」であり、受け取る権利があるからです。

ただし、上司や会社側からすれば、「ボーナスをもらうためだけに黙っていたのか」と、心象（印象）が最悪になることは覚悟しなければなりません。

円満退職を目指す上では、あまり推奨されるタイミングではありません。

おすすめの活動タイミング

もし円満退職とボーナスの両立を目指すなら、以下のようなスケジュールが考えられます。

1. ボーナス支給の1〜2ヶ月前から転職活動を開始する。
2. ボーナス支給日の前後に内定が出るように調整する。
3. ボーナス支給日を過ぎてから、退職の意向を伝える。
4. そこから1〜2ヶ月かけて、しっかり引き継ぎを行って退職する。

これであれば、会社側も「ボーナスをもらってすぐ辞めた」という印象より、「しっかり引き継ぎもしてくれた」という印象が残りやすくなります。

もし会社にバレてしまったら？冷静な対処法

どれだけ注意していても、不運や些細なミスで転職活動がバレてしまうことはあります。

もし上司や人事から「最近、転職活動してる？」と聞かれてしまったら。

パニックにならず、冷静に対処することが何よりも重要です。

1. まずは動揺せず、相手の意図を探る

「えっ！」「なんでですか！」などと動揺を見せると、「図星なんだな」と確信を持たせてしまいます。

まずは一呼吸おき、「（驚いたふうを装わず）…どうしてそう思われたのですか？」と、相手がどこまでの情報を掴んでいるのかを確認しましょう。

• 「最近元気ないから」→ 噂レベル（確証なし）
• 「〇〇（同僚）から聞いた」→ 噂レベル（確証なし）
• 「〇〇社のビルに入っていくのを見た」→ 証拠あり
• 「転職サイトに君のレジュメが載っていた」→ 証拠あり

2. 「噂レベル」か「証拠あり」かで対応を変える

A. 確たる証拠がなさそうな場合（噂レベル）

この場合は、無理に認める必要はありません。下手に認めると、その後の交渉が不利になる可能性があります。

＜対応例＞

「いえ、具体的な転職活動はしていませんよ。ただ、自分の市場価値を知るために、情報収集として他社の話を聞いてみたり、友人に相談したりすることはあります。」

「キャリアアップのために勉強しているだけです。」

このように、「キャリアについて考えている」ことは認めつつ、「具体的な転職（＝退職前提の活動）」は否定するのが無難です。

B. 証拠を突きつけられた場合

面接の目撃情報や、転職サイトのレジュメなど、動かぬ証拠がある場合は、嘘をつき通すのは困難ですし、心証を悪くします。

この場合は、正直に、ただし冷静に事実を伝えましょう。

＜対応例＞

「ご報告が遅れてしまい申し訳ありません。実は、自分自身の今後のキャリアについて考え、他社の選考も受けさせていただいております。」

「まだ何も決まっておりませんが、まずはご報告までと思いまして。」

重要なのは、「まだ決定事項ではない」という姿勢を見せつつ、誠実に対応することです。

3. 「引き止め（カウンターオファー）」への対応を徹底解説

バレた場合、会社側が「辞められたら困る」と判断すれば、「引き止め」交渉が始まります。

これが、転職活動がバレた際の最大の分岐点です。

＜引き止めの具体例＞

• 「給与を上げるから残ってくれ」
• 「希望の部署に異動させる」
• 「（感情的に）君を信頼していたのに裏切るのか」

LIFRELLスキルアップ編集部としては、一度バレた上での引き止め（カウンターオファー）は、慎重に検討すべきだと考えています。

【引き止めに応じるメリット・デメリット】

	メリット	デメリット
応じた場合	・転職活動の手間が省ける ・給与や待遇が一時的に改善する ・慣れた環境で働き続けられる	・「一度は辞めようとした人物」というレッテルが貼られる ・長期的なキャリア（昇進など）で不利になる可能性 ・転職理由の「根本原因」が解決しないことが多い ・次（もしあれば）の転職がさらにしづらくなる
断った場合	・転職理由（不満）を根本的に解決できる ・新しい環境で心機一転スタートできる ・キャリアプランを実現できる	・転職活動を続ける（または再開する）労力がかかる ・退職までの期間、社内で気まずい可能性がある ・転職先が必ずしも良いとは限らないリスク

一般的に、カウンターオファーを承諾して会社に残った場合、その後のキャリアが好転するケースは少ないと言われています。

「給与が上がるなら」と安易に残ってしまうと、転職の根本的な理由（例：社風が合わない、成長環境がない）が解決しないまま、結局1〜2年後に再び転職活動を再開する…という例は後を絶ちません。

＜引き止めの賢い断り方＞

「大変ありがたいお話ですが、熟慮した結果、やはり新しい環境でチャレンジしたいという気持ちは変わりません。」

「（給与や待遇ではなく）自分自身の〇〇というスキルを試したい、という思いが強いため、決意は固いです。」

「お気持ちは本当に嬉しいのですが、申し訳ありません。」

感謝の意を伝えつつ、決意が固いことを毅然とした態度で示すことが重要です。

会社は転職活動を理由に解雇できる？【法律知識】

「転職活動がバレたら、クビになるのではないか？」

これは、法律（YMYL）に関わる重要なポイントです。

結論から言うと、「転職活動をしていた」という事実のみを理由として、会社が従業員を解雇（クビ）にすることは、法的に認められません。

• 職業選択の自由
  日本国憲法第22条で「職業選択の自由」が保障されています。
• 解雇権の濫用
  労働契約法第16条では、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定められています。

（出典：e-Gov法令検索 労働契約法）

つまり、従業員がプライベートの時間を使って転職活動をすることは何ら違法ではなく、それを理由に解雇することは「不当解雇」にあたる可能性が極めて高いです。

ただし「職務怠慢」は別

注意が必要なのは、転職活動にうつつを抜かすあまり、現在の会社の業務に明らかな支障（遅刻、欠勤、ミス連発、業務時間中の私用PC利用など）が出た場合です。

これは「職務怠慢」や「服務規律違反」として、懲戒処分（減給や出勤停止など）の対象となる可能性があります。解雇（懲戒解雇）は最終手段ですが、そこに至るプロセスで評価を下げる原因にはなります。

バレないように活動することは、結果として現在の職務を全うすることにもつながるのです。

バレた後でも大丈夫。「円満退職」へ向けた交渉術

転職活動がバレてしまった、あるいは内定が出たため退職の意向を伝える。

ここからは、「いかに円満に退職するか」というフェーズに移行します。

1. 退職意思を伝える最適なタイミング

法律上は、退職の申し出は2週間前まで（民法第627条）とされていますが、多くの会社の就業規則では「1ヶ月前」や「2ヶ月前」と定められています。

• 直属の上司に、まず口頭でアポイントを取り、会議室などで1対1で伝えます。
• 引き継ぎや後任の選定を考慮し、就業規則に定められた期限を守りつつ、退職希望日の1.5〜2ヶ月前に伝えるのが、社会人としてのマナーと言えるでしょう。

2. 引き継ぎの姿勢を見せる

退職を伝える際は、必ず「後任の方への引き継ぎは、責任を持って行います」という意思を明確に伝えてください。

• 引き継ぎ資料（マニュアル）の作成を申し出る。
• 後任者が決まるまでの業務スケジュール案を提示する。

この姿勢を見せるだけで、会社側の心証は大きく変わります。

3. ネガティブな退職理由を伝えない

たとえ会社への不満（給与が低い、人間関係が悪い）が本当の理由であっても、それをストレートに伝えるのは得策ではありません。

「他に挑戦したい分野ができた」

「〇〇のスキルを専門的に高めたいと考えた」

など、あくまでポジティブで、個人的なキャリアプランを理由にしましょう。

現職への不満を述べても、引き止めが長引くか、雰囲気が悪くなるだけで、何のメリットもありません。

転職活動の「バレ」に関するQ&A

転職エージェントは本当に信用できますか？

大手や実績のある優良な転職エージェントであれば、守秘義務を徹底しているため、信用して問題ありません。

彼らにとっても「応募者の情報が漏洩した」という事実は、ビジネス上の信用を失う致命的な問題です。

ただし、担当アドバイザーとの相性はあるため、「この人は信頼できない」と感じたら、担当変更を申し出るか、別のエージェントを利用しましょう。

ハローワーク（公共職業安定所）を使うとバレやすいですか？

バレやすい、ということはありません。ハローワークも求職者の個人情報は厳重に管理しています。

ただし、ハローワークの求人には、転職サイトの「ブロック機能」のような仕組みがありません。

また、地元の企業がハローワークを頻繁にチェックしている場合、そこであなたの情報を（例えば地元の知り合いの担当者などが）目にする可能性は、転職サイトに比べてゼロではないかもしれません。

転職回数が多いとバレやすいですか？

転職回数自体がバレやすさに直結することはありません。

むしろ、転職経験者は「バレないための対策」に慣れているため、初めて転職する人よりも慎重に行動できる傾向があります。

ただし、短期間での転職を繰り返している場合、選考の過程でリファレンスチェックを求められる可能性は高まるかもしれません。

LIFRELLスキルアップ編集部が考える「バレない転職活動」の心構え

ここまで、転職活動がバレる原因と対策を徹底的に解説してきました。

私たちLIFRELLスキルアップ編集部が、これまでの取材や専門家の知見から最も重要だと考えるのは、「バレないこと」そのものを目的にしないことです。

バレないための最大の防御策は、「現在の仕事で手を抜かないこと」です。

転職活動を始めると、どうしても意識が次の職場に向かいがちです。しかし、そこで業務が疎かになれば、あなたの評価が下がるだけでなく、「最近、様子がおかしい」と周囲に疑念を抱かせる隙（すき）を与えることになります。

転職活動は、あなたのキャリアをより良くするための「手段」です。

目的は、「円満に退職し、次のステージで活躍すること」のはずです。

最後までプロフェッショナルとして現在の職務を全うし、万が一バレてしまった場合でも、「〇〇さんが考えるキャリアなら仕方ない」「今まで頑張ってくれたから応援しよう」と（たとえ本音でなくとも）思わせるような信頼関係を維持することが、最強の「バレ対策」であり、「円満退職」への近道です。

まとめ

転職活動が会社にバレるリスクは、以下の対策を徹底することで最小限に抑えることができます。

1. バレる主な原因を理解する

• 住民税（副業バレとの混同に注意）
• 同僚・上司の目撃（服装、行動の変化）
• SNSや口外
• 会社のPC・ネットワーク使用
• 転職サイトのブロック機能不備
• リファレンスチェック

2. 徹底すべき対策

• 行動：会社の資産（PC、Wi-Fi）を使わない。業務時間外（有給）に活動する。
• ツール：転職サイトの「企業ブロック機能」を必ず設定（グループ会社含む）。
• SNS：LinkedInの設定は「リクルーターのみ」に。匂わせ投稿は厳禁。
• 時期：ボーナス査定期間中の発覚は評価に響くリスクあり。

3. もしバレてしまったら

• 動揺せず、まずは相手が持つ情報を確認する。
• 噂レベルなら否定、証拠があるなら誠実に対応する。
• 引き止め（カウンターオファー）には安易に応じず、転職の根本理由で判断する。

転職活動は、決して悪いことではありません。あなたのキャリアと人生を豊かにするために、必要なステップです。

LIFRELLスキルアップは、あなたの新たな一歩を全力でサポートします。正しい知識と準備を持って、自信を持って次の一歩を踏出しましょう。