入社5年目の転職理由とは？よくある本音と後悔しないキャリアチェンジの全ステップを徹底解説

入社して5年。中堅社員として責任ある仕事も増え、職場にも慣れてきた一方で、「このままでいいのだろうか」「自分のキャリアは本当にこれで合っているのか」と、漠然とした不安や迷いを抱えていませんか？

入社5年目は、多くの社会人にとってキャリアの「節目」となる時期です。仕事の全体像が見えてくるからこそ、新入社員の頃には気づかなかった会社の課題や、自分自身のキャリアプランとのズレが明確になりやすいのです。

給与への不満、キャリアの停滞感、会社の将来性への疑問。転職を考える理由は人それぞれですが、大切なのは「なぜ辞めたいのか」という本音を深く掘り下げ、勢いや感情だけで判断しないことです。

この記事では、LIFRELLスキルアップ編集部が、入社5年目の転職でよくある理由を深掘りするとともに、5年目社員の市場価値、後悔しないためのキャリアチェンジの具体的なステップ、さらには転職以外の選択肢や円満退社の秘訣まで、あなたのキャリアの岐路に必要な情報を「完全版」として徹底的に解説します。

あなたのキャリアにおける重要な一歩を、この記事が全力でサポートします。

なぜ入社5年目は「転職の節目」なのか？理由は「中堅」としての期待と「将来への不安」の交錯

入社5年目は、ビジネスパーソンとして一つの「完成形」に近づく時期です。LIFRELLスキルアップ編集部では、この時期を「キャリアの第一分岐点」と捉えています。

1. スキルと経験の定着

5年も経てば、担当業務の基本的なスキルは一通り習得し、多くの場合は自分一人で業務を完結できる「一人前」とみなされます。後輩の指導や、小規模なプロジェクトのリーダーを任されることも増えるでしょう。

2. 「中堅社員」としてのプレッシャー

「もう新人ではない」という周囲の目と期待は、時にプレッシャーとなります。求められる成果のレベルが上がり、責任も重くなる一方で、それに見合った評価や待遇が得られていないと感じる（あるいは、本当に得られていない）ケースも出てきます。

3. キャリアの「踊り場」

日々の業務はこなせるようになったものの、ふと「自分は3年目からどれだけ成長できただろうか？」と立ち止まってしまう。これがキャリアの「踊り場」です。ルーティンワークが増え、新しい刺激や成長実感が得にくくなることで、「この会社にあと5年、10年いて大丈夫か？」という不安が芽生え始めます。

4. 転職市場での高い価値

企業の中途採用において、社会人5年目（20代後半〜30歳前後）は、最も需要が高い層の一つです。基本的なビジネスマナーや実務能力が備わっており（＝教育コストが低い）、それでいて前職のやり方に染まりきっておらず（＝柔軟性がある）、今後の成長も期待できる「即戦力かつポテンシャル枠」として、多くの企業が積極的に採用したいと考えるのです。

このように、個人の内面的な葛藤と、転職市場からの客観的な需要が重なるのが「入社5年目」というタイミングなのです。

【本音】入社5年目の転職理由ランキング。理由は「不満」だけでなく「前向きなキャリアアップ」が多数

では、実際に入社5年目の社員は、どのような理由で転職を決意するのでしょうか。厚生労働省が発表している「雇用動向調査」など、各種の調査結果を分析すると、年代や勤続年数によって転職理由の傾向が見えてきます。

特に5年目前後の社員においては、ネガティブな不満の解消だけでなく、「もっとこうしたい」というポジティブなキャリアアップを目指す理由が上位に入り混じるのが特徴です。

LIFRELLスキルアップ編集部が、独自にヒアリングや各種データを分析した結果、入社5年目の転職理由として特に多い「本音」は以下の通りです。

入社5年目の転職理由TOP7

1. 給与・待遇への不満
   • 「責任や仕事量は増えたのに、給与が新人の頃とさほど変わらない」
   • 「同業他社の同年代と比べて、明らかに給与水準が低い」
2. キャリアアップ・成長実感の欠如
   • 「この会社で学べることは一通り学んだ。これ以上の成長が見込めない」
   • 「より専門性の高いスキルを身につけたい」
   • 「マネジメント経験を積みたいが、上が詰まっていて機会がない」
3. 会社の将来性・事業内容への不安
   • 「業界全体が斜陽で、会社の業績も頭打ち」
   • 「経営陣のビジョンに共感できず、ついていけないと感じた」
4. ワークライフバランスの改善
   • 「恒常的な長時間労働から抜け出し、プライベートも大切にしたい」
   • 「結婚や出産など、ライフステージの変化を見据えて働き方を変えたい」
5. 職場の人間関係
   • 「上司との相性が悪く、正当な評価をしてもらえない」
   • 「社内の風通しが悪く、意見を言える雰囲気ではない」
6. 希望する仕事内容とのミスマッチ
   • 「入社時は希望していたが、5年続けてみて『本当にやりたい仕事はこれではない』と気づいた」
   • 「もっと顧客に近い立場で働きたい（または、企画側に回りたい）」
7. 評価制度への不満
   • 「成果を出しても評価されず、年功序列の風土が強い」
   • 「評価基準が曖昧で、上司のさじ加減で決まってしまう」

その「悩み」、転職で本当に解決できますか？理由別の課題とLIFRELLの見解

転職理由を明確にすることは重要ですが、それ以上に重要なのは「その課題が、転職によって本当に解決するのか」を見極めることです。

ここでは、特に多い3つの転職理由について、LIFRELLスキルアップ編集部としての見解と分析を加えます。

1. 「給与・待遇への不満」で辞めたい場合

給与は最も分かりやすい不満の一つですが、最も慎重になるべき理由でもあります。

2. 「キャリアアップ・成長実感の欠如」で辞めたい場合

入社5年目の転職理由として、最も前向きで、転職市場でも評価されやすい理由です。

3. 「ワークライフバランスの改善」で辞めたい場合

長時間労働や休日出勤が常態化している場合、心身の健康を守るために転職は有効な手段です。

5年目の転職市場価値は高い？企業が「即戦力」と「将来のリーダー候補」を求めている

入社5年目のあなたが転職市場でどのように見られているか、客観的に把握することは非常に重要です。結論から言えば、市場価値は非常に高いと言えます。

企業が中途採用（特に若手〜中堅）に求めるのは、大きく分けて「即戦力」と「将来性（ポテンシャル）」です。入社5年目の社員は、この両方を高いレベルで兼ね備えていると評価されます。

比較表：5年目社員の市場価値

比較対象	即戦力（実務能力）	ポテンシャル（柔軟性・成長性）	企業側の主な期待
第2新卒 （1〜3年目）	△ （基礎はあるが、単独遂行は未知数）	◎ （若く、自社の文化に染めやすい）	ポテンシャルと意欲。教育前提。
入社5年目 （4〜7年目）	〇 （一通りの実務経験があり、即戦力）	〇 （まだ若く、新しい環境への適応も早い）	実務の中核メンバー。 将来のリーダー候補。
ベテラン （10年目以上）	◎ （高い専門性やマネジメント経験）	△ （前職のやり方が強く、柔軟性に欠ける懸念）	即戦力の管理職または高度専門職。

企業が5年目社員に具体的に求めるスキル

• 自走力（Self-Starter）：指示待ちではなく、自分で課題を見つけ、解決策を考え、実行できる能力。
• 後輩指導・OJT経験：プレイヤーとしてだけでなく、チームの成果に貢献した経験。
• プロジェクト推進経験：リーダーでなくても、主要メンバーとしてプロジェクトを完遂させた経験。
• 専門性（の土台）：「営業」「マーケティング」「経理」など、特定の職種における確かな実務経験。

【自己診断】あなたは「転職すべき人」？ それとも「現職に残るべき人」？

「辞めたい」という気持ちは本物か、それとも一時的な迷いか。入社5年目というキャリアの中核を担う時期だからこそ、その判断は慎重に行うべきです。

LIFRELLスキルアップ編集部が考える、「転職を積極的に検討すべきサイン」と「現職に留まるべきサイン」をまとめました。ご自身の状況と照らし合わせてみてください。

転職を積極的に検討すべき「5つのサイン」

以下の項目に複数当てはまる場合、あなたの悩みは現職で解決することが難しく、外に目を向けるべきタイミングかもしれません。

1. 会社の事業や将来性に「構造的な不安」がある

「自分の努力ではどうにもならない」と感じるレベルで、会社の業績が悪化している、あるいは業界全体が縮小傾向にある場合です。

5年かけて会社の内情が見えてきた今だからこそ、冷静に判断できる部分です。個人の力で会社の方向性を変えることは困難であり、沈みゆく船から脱出する判断は合理的です。

2. 心身の健康に「黄信号」が灯っている

恒常的な長時間労働、休日出勤、プレッシャーによるストレスで、不眠や食欲不振、気分の落ち込みなどが続いている状態です。

入社5年目の中堅社員は責任感が強く、「自分がやらなければ」と抱え込みがちですが、健康を犠牲にしてまで続ける仕事はありません。これは最も優先すべき転職理由となります。

3. スキルが「陳腐化」する危機感がある

「この会社でしか通用しないスキル」ばかりが求められ、市場価値のあるポータブルスキル（課題解決力、デジタルスキル、専門知識など）が身についていないと感じる場合です。

5年という節目は、キャリアの「専門性」を確立し始める時期です。今の環境が成長の「踊り場」ではなく「行き止まり」に見えるなら、環境を変えるべきです。

4. 評価制度や企業文化が「根本的に」合わない

成果を出しても年功序列で評価されない、あるいは逆に、成果主義が行き過ぎてチームワークが崩壊している。ハラスメントが横行しているが、会社がそれを黙認している。

こうした「文化」や「制度」は、一個人の力で変えることはほぼ不可能です。あなたが大切にする価値観と会社の価値観が根本的にズレている場合、転職でしか解決できません。

5. 挑戦したい「明確な次のステップ」が現職にない

「マネジメントに挑戦したいが、上が詰まっていてポストがない」「新規事業開発に携わりたいが、会社にその部門がない」など、あなたのキャリアプランを実現する「環境（土壌）」が現職にない場合です。

これはネガティブな「逃げ」ではなく、ポジティブな「攻め」の転職です。

現職に留まり、内部での改善を試みるべき「4つのサイン」

一方で、以下のような場合は「勢いでの転職」を後悔する可能性があります。もう一度、現職でできることがないか立ち止まって考えましょう。

1. 不満の原因が「一時的」または「特定の個人」である

「今関わっているプロジェクトが異常に忙しい」「特定の上司や同僚とだけ相性が悪い」という場合です。

プロジェクトはいつか終わりますし、人間関係は異動によって解決する可能性があります。会社全体ではなく「点」の問題である場合、転職という「面」での解決はやりすぎかもしれません。

2. 自分の「市場価値」を客観的に把握していない

「隣の芝生は青い」状態です。「友人が転職して給料が上がった」といった話を聞き、焦ってはいないでしょうか。

まずは転職エージェントとの面談や転職サイトのスカウト状況で、自分の市場価値を冷静に測るべきです。「思っていたより評価が低かった」場合、現職でまず実績を積むことが先決です。

3. 不満の解決のために「具体的な行動」を起こしていない

給与に不満があるなら、上司に評価面談で交渉しましたか？ 仕事内容に不満があるなら、異動希望を出しましたか？

5年目の社員であれば、社内で「交渉」や「提案」をする立場にあります。何も行動せずに「わかってくれない」と不満を持つのは早計です。現職での「やり残し」をなくしましょう。

4. 転職の目的が「不満の解消」だけで、「次」がない

「とにかく今の環境から逃げ出したい」という動機だけでの転職は、非常に危険です。次の職場でまた別の不満を見つける可能性が高くなります。

「何を解決するために転職し、転職先で何を実現したいのか」という「転職の軸」が明確になっていない限り、行動すべきではありません。

入社5年目の転職で後悔しないために。「勢い」での転職は危険、自己分析と情報収集の徹底が鍵

市場価値が高いとはいえ、準備不足のまま転職活動を始めると「こんなはずではなかった」と後悔するリスクもあります。特に5年目は「隣の芝生が青く見える」時期でもあるため、冷静な判断が求められます。

後悔しないために、転職活動を始める前に必ず行うべき「4つのステップ」を紹介します。

5年目のキャリアチェンジを成功させる具体的なステップ。成功の鍵は「情報収集」と「専門家の活用」

自己分析とキャリアの棚卸しが完了したら、いよいよ具体的な行動に移ります。入社5年目の転職活動は「在職中」に進めるのが鉄則です。収入が途絶えると「早く決めないと」という焦りが生まれ、冷静な判断ができなくなるからです。

5年目転職のリアル。知っておくべき成功の鍵と「失敗」のパターン

転職活動は、情報戦でもあります。入社5年目という「売り手市場」の立場にあっても、準備不足や思い込みで「こんなはずではなかった」と後悔するケースは後を絶ちません。

LIFRELLスキルアップ編集部がヒアリングした、リアルな成功パターンと失敗パターンを分析します。

転職成功パターン分析

転職「失敗・後悔」パターン分析

失敗を回避するためのLIFRELLの見解「企業研究の解像度を上げよ」

5年目の転職で失敗する人の多くは、「自己分析」はしていても、「企業分析」が圧倒的に不足しています。

求人票や企業の採用ページに書かれているのは、当然ながら「良い側面」だけです。その裏にあるリアルな情報をどう掴むかが、ミスマッチを防ぐ鍵となります。

5年目だからこそ差がつく。「即戦力」と「将来性」を伝える応募書類（職務経歴書）の作り方

入社5年目の転職活動では、「職務経歴書」が合否を分ける最大のポイントとなります。新卒の「履歴書」とは異なり、「あなたは何ができ、何をしてきたか」を具体的に示すプレゼン資料だからです。

第二新卒とは違う「中堅」としての価値を伝えるために、以下の3点を徹底しましょう。

1. 「やったこと」ではなく「改善したこと」を書く

採用担当者が見たいのは、あなたが「ルーティンワークをこなせる」ことではなく、「主体的に課題を見つけ、改善・実行した」経験です。

• 悪い例：営業として新規顧客開拓を担当。テレアポや訪問を行った。
• 良い例：営業として新規顧客開拓を担当。既存のリストの成約率の低さに着目し、業界別にトークスクリプトを再構築。また、非効率だった訪問ルートを見直し、訪問件数を月間平均20%向上させた。

2. 「数字」で語る。定量的な成果を必ず盛り込む

「頑張りました」「貢献しました」といった定性的な表現は、何の証明にもなりません。5年目の社員には、「成果」を客観的な「数字」で説明する能力が求められます。

• 売上、契約件数、達成率（例：目標120%達成）
• コスト削減額、削減率（例：経費を前年比10%削減）
• 工数削減時間（例：月間20時間の業務をRPAで自動化）
• 顧客満足度（例：アンケート満足度を80点から90点に改善）
• チームの成果（例：指導した後輩が新人賞を獲得）

数字が出しにくい職種（事務、人事など）でも、「業務フローを改善し、処理時間を30%短縮した」「マニュアルを整備し、新人のOJT期間を2週間短縮した」など、工夫次第で定量化は可能です。

3. 「後輩指導」や「チーム貢献」の経験をアピールする

5年目には、プレイヤーとしての能力だけでなく、「将来のリーダー候補」としての素養も期待されています。たとえ役職がついていなくても、以下のような経験は強力なアピールになります。

• OJT担当：新入社員や後輩の指導担当として、どのような工夫をしたか。
• プロジェクト：リーダーでなくても、主要メンバーとしてどのような役割（調整役、データ分析、議事録作成など）を担い、プロジェクトの成功に貢献したか。
• 業務改善：チーム全体の非効率な部分を指摘し、新しいツール導入やルール作りを提案・実行した経験。

職務経歴書は、あなたの「5年間の集大成」です。転職エージェントの添削も活用しながら、採用担当者に「この人がいれば、うちの部署は助かる」と思わせる内容に仕上げましょう。

転職だけが選択肢ではない？5年目からの「キャリア多角化」という視点

「今の会社、何かが違う…」と感じたとき、答えは「転職」だけとは限りません。LIFRELLスキルアップ編集部としては、5年目という経験値を活かした「キャリアの多角化」も強く推奨します。

選択肢1：リスクゼロで環境を変える「社内異動・社内公募」

最も低リスクなキャリアチェンジです。

• メリット：給与や福利厚生を維持したまま、新しい仕事内容や人間関係を経験できる。会社の文化や基幹システムを理解しているため、キャッチアップが早い。
• デメリット：希望の部署に空きがあるとは限らない。異動が叶わなかった場合、社内に居づらくなるリスクもゼロではない。
• LIFRELLの見解：「会社自体は嫌いではないが、今の仕事内容や上司が合わない」という場合に最適です。5年目の実績があれば、他部署も「即戦力」として歓迎してくれる可能性が高いです。

選択肢2：現職で安定を確保しつつ挑戦する「副業（パラレルキャリア）」

LIFRELLスキルアップが特に注目している選択肢です。

• メリット：本業の安定収入を得ながら、自分のスキルが市場で通用するかを試せる。新しいスキル（Webデザイン、ライティング、動画編集など）を実践で学びながら収入を得られる。
• デメリット：本業との両立が難しく、労働時間が長くなりがち。会社の就業規則で禁止されている場合もある。
• LIFRELLの見解：「今の会社に大きな不満はないが、成長が止まっている」「将来的に独立も視野に入れたい」という方に最適です。副業で得た知見が、本業に思わぬ好影響を与えることも多々あります。

選択肢3：将来の「ジャンプ」に備える「学び直し（リスキリング）」

すぐに転職せず、まずは市場価値を高めるための「自己投資」期間と位置づける選択肢です。

• メリット：現職で働きながら、専門スクールや大学院などで高度な専門知識を体系的に学べる。異業種・異職種への転職を目指す場合の、強力な武器となる。
• デメリット：時間と費用（数十万円〜）がかかる。学んだだけで満足し、行動に移さないと「コスト」だけで終わってしまう。
• LIFRELLの見解：「営業からマーケターへ」「事務からITエンジニアへ」など、大きなキャリアチェンジを狙う場合の「正攻法」です。5年間のビジネス基礎体力があるため、学びの吸収スピードも速く、投資対効果は非常に高いと言えます。

「円満退社」の進め方と、引き止め（カウンターオファー）の正しい対処法

内定を獲得した後、最後の難関が「退職交渉」です。入社5年目の中堅社員は、会社にとって「最も辞めてほしくない人材」の一人。感情的にならず、スムーズに「円満退社」するための手順を解説します。

円満退社のロードマップ

1. 退職意思の表明（退職希望日の1.5〜2ヶ月前）
   • 誰に：直属の上司。部長や人事部に先に話すのは、上司の顔に泥を塗る行為であり、NGです。
   • どうやって：「ご相談したいことがあります」と、必ず口頭で伝える時間を設定してもらいます（会議室など、1対1で話せる場所で）。メールやチャットで済ませるのは、5年目の中堅社員として不適切です。
   • 何を話すか：「一身上の都合により、〇月〇日をもって退職させていただきたく存じます」と、感謝の言葉と共に「明確な意思」と「希望日」を伝えます。
2. 退職交渉・退職日の確定（上司との面談）
   • ほぼ確実に「理由」を聞かれます。会社の不満や人間関係を正直にぶちまける必要はありません。
   • 「現職では得られない〇〇の経験を積みたい」「〇〇の分野で専門性を高めたい」といった、前向きな転職理由を伝えるのがベストです。
   • 強い引き止めにあった場合も、「悩み抜いて決めたことですので、意思は変わりません」と、感謝を示しつつも毅然とした態度を崩さないことが重要です。
3. 退職願（または退職届）の提出
   • 上司との合意後、就業規則に則った書式で提出します。
4. 業務の引継ぎ・挨拶回り
   • 5年目の責任として、最も力を入れるべき部分です。後任者が困らないよう、詳細な引継ぎ資料を作成し、関係各所への挨拶も丁寧に行います。
   • 「立つ鳥跡を濁さず」この業界は意外と狭いものです。将来どこで繋がるかわかりません。

最大の罠「カウンターオファー」への対処法

「給与を上げるから」「希望の部署に異動させるから」と、会社が引き止めのために好条件を提示することを「カウンターオファー」と呼びます。

転職先で「即戦力」として活躍するために。中途入社者のための「最初の90日」

転職は「内定」がゴールではありません。新しい職場でいかに早く戦力となり、信頼を勝ち取るかが重要です。5年目の中途入社者に求められる「最初の90日（3ヶ月）の過ごし方」をまとめます。

最初の30日（1ヶ月目）：徹底的に「受信」し、組織を学ぶ

• 目的：人間関係の構築と、「ローカルルール」の把握。
• 行動：
  • 「教えてもらう」姿勢：5年目の経験があっても、その会社では新人です。「前職ではこうだった」というプライドは捨て、謙虚に質問しましょう。
  • キーパーソンの把握：部署内の人間関係、誰が実質的な決定権を持っているか、誰に相談すべきかを見極めます。
  • アウトプットよりインプット：大きな成果を出そうと焦らず、まずは社内システム、業務フロー、企業文化を覚えることに集中します。

31日〜60日（2ヶ月目）：「小さな成功」を積み重ねる

• 目的：「即戦力」としての価値を示し始める。
• 行動：
  • 得意分野で貢献：まずは自分の得意な業務や、前職の経験が活きる分野で「スモールウィン（小さな成功）」を狙います。
  • 期待値のすり合わせ：上司と1on1などを通じて、「自分に今、何を期待されているか」を再確認します。
  • 改善提案の準備：客観的な視点で「非効率だ」と感じた部分をメモしておきます（※まだ提案はしません）。

61日〜90日（3ヶ月目）：「自分らしさ」を発揮し、提案する

• 目的：組織の一員として、主体的に「価値」を提供する。
• 行動：
  • 業務改善の提案：2ヶ月目までに集めた情報をもとに、「〇〇の業務は、このようにすればもっと効率化できると思います」と、根拠（データ）と共に具体的な提案を行います。
  • 主体的な行動：指示された業務だけでなく、自分から仕事を見つけ、チームに貢献する動きを取ります。

5年目の転職でよくある質問（FAQ）。疑問を解消し、不安なく次の一歩を踏み出す

最後に、入社5年目の方からよく寄せられる質問にお答えします。

転職活動は、会社にバレませんか？

転職サイトやエージェントには、特定の企業（＝現職の会社）にあなたの登録情報をブロックする機能が必ず備わっています。

また、エージェントとの面談も、オンラインや業務時間外に行えます。自分でSNSで公言したり、会社のPCで転職サイトを閲覧したりしない限り、バレるリスクは極めて低いです。

「5年」という経歴は、短すぎませんか？「石の上にも三年」と言いますが…

全く短くありません。

むしろ、前述の通り「即戦力」と「柔軟性」を兼ね備えた、中途採用市場における「ゴールデンエイジ」です。終身雇用が前提ではなくなった現代において、「3年」という数字に縛られる必要は全くありません。

転職理由は、面接で正直に話すべきですか？

「正直に」かつ「ポジティブに」話すべきです。

これが鉄則です。「給与が低かった」「上司と合わなかった」というネガティブな事実だけを伝えると、「不満ばかり言う人」「他責思考な人」と見なされてしまいます。

必ず、「不満を解決するために現職で〇〇と努力したが、構造的に難しかった。だからこそ、△△（キャリアアップなど）が実現できる御社で貢献したい」という、未来志向のストーリーに変換して伝える必要があります。

転職先が見つかるまで、平均でどれくらいの期間がかかりますか？

在職中の方の場合、一般的に3ヶ月〜6ヶ月程度かかります。

（自己分析・書類準備に1ヶ月 → 応募・面接に1〜2ヶ月 → 内定・交渉に1ヶ月 → 退職交渉・引継ぎに1ヶ月）

「良いところがあれば」という軽い気持ちで情報収集を始めるなら、半年前から行動しても早すぎることはありません。

大企業とベンチャー（スタートアップ）、どちらを選ぶべきですか？

これはあなたの「転職の軸」によります。5年目のキャリア選択として、どちらもメリット・デメリットがあります。

• 大企業：安定性、福利厚生、大規模な仕事、確立された教育体制が魅力。一方、裁量権が小さく、意思決定が遅い傾向。
• ベンチャー：裁量権が大きく、経営層と近く、幅広い業務をスピード感持って経験できる。一方、教育体制は未整備で、安定性やWLBは会社による差が激しい。

「安定した環境で専門性を深めたい」なら大企業、「0→1や、早期にマネジメント経験を積みたい」ならベンチャーが向いているでしょう。

まとめ：5年目の「悩み」は成長の証。自信を持って、最適なキャリアを選択しよう。

入社5年目で感じるキャリアへの不安や葛藤は、あなたがそれまで真剣に仕事に向き合い、成長してきたからこそ生まれるものです。それは決してネガティブなものではなく、「次のステージ」に進むための大切なサインです。

大切なのは、そのサインを見て見ぬふりをせず、「自分は本当はどうしたいのか」と深く向き合うことです。本記事では、そのための判断基準、市場価値、具体的なステップ、そして「転職以外の選択肢」まで、考えうるすべてを網羅しました。

勢いで辞めて後悔することのないよう、まずは「自己分析」と「キャリアの棚卸し」から始めてください。そして、自分の市場価値を客観的に知るために、転職エージェントという「キャリアのプロ」の力も積極的に借りましょう。

あなたの5年間は、間違いなく価値ある経験です。自信を持って、あなたらしいキャリアの次の一歩を踏み出してください。

LIFRELLスキルアップは、あなたのキャリアにおける重要な転機をサポートし、あなたらしい働き方を見つけるための一歩を、これからも応援しています。

(出典)

• 厚生労働省「雇用動向調査」
  • 転職者が前職を辞めた理由など、公的な統計データが掲載されています。